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流星の絆

第2章 第二章 未完成な音色





誰かに呼ばれた気がした。

でも誰かは解らず目を覚ますと万理の部屋にいた。


「しくった」
それは、無意識の言葉だった。

別に死にたいわけじゃない。

まぁ、別にいいかな?って思ったけど。

「こんな時期にあんな場所で野宿何て何考えてんだ」

「あー…うん」

「死ぬ気だったのか!」

普段温厚な万理が珍しく怒っている。

余計な事を言ったら怒らせるから相槌だけ打って置こう。

「ちゃんと俺の目を見ろ」

「自殺願望は別にないけど…別にいいかなぁとは思った」

「お前な!」

やばい、地雷を踏んだ。

「簡単に言うな!」

「でも、今さらだし」

「は?」

マズイ、つい口が滑った。

「あー、今のは忘れてくれていいわ。別に深い意味じゃないから」

「忘れるか!もうこれからはお前を見張っておくからな!」


勝手に怒って、勝手にキレて決めるなんてどうなの?

「頼むから…もうこんなことしないでくれ」

「え?」

いきなり何が起きたか解らなかった。

万理のおでこと私のおでこが重なり、ため息をつく。

そして何故か抱きしめられた。

「俺にこんなことを言う資格はないけど…黙っていなくならないで…君は女の子だろ。あんな場所で…」

「ごめん。今度は場所を考える」

「そうじゃない!いなくなるなって言ってるんだよ」


でも私は渡り鳥だから、同じ場所にい続けるのは無理なのかもしれない。

「約束はできない」

「詩音!」

「こればかりはどうにもならないわ」

私がこの先、居場所を求めたとしても。

その場所を奪われる。

「渡り鳥は巣を得る事なんてできないのよ」

私も渡り鳥と同じなんだから。

「私が願っても、温かい場所は踏みにじられる。なら望んじゃいけない」

「誰が決めたんだ…誰がそんなことをしたんだ」

「別に」

これ以上言うのはまずいと思った私はそっぽを向くけど万理は許してくれなかった。


思えば万理は昔からそうだった。
私が私自身を大事にしないことを万理は絶対に許してくれなかった。

苦しいのを我慢することを許してくれない。

けれど無理矢理聞き出すようなことだけしなかった。


話せるまで待ってくれいた。


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