第2章 第二章 未完成な音色
❁❁❁ 万理side ❁❁❁
急いで心当たりのある場所を探し回った。
でも見つからなかった。
何処にいるんだ!
何処に…
詩音が行きそうな場所。
こういう時に行く場所は。
その時、一か所だけ心当たりがあった。
「そうだ、公園‥アイツが野宿にしていた場所!」
放浪癖のあるアイツは渡り鳥のような事をしていた。
しかも、情緒不安定気味になると公園にいた。
まるで行き場を無くした子供の様に。
「詩音!」
公園に行くと遊具のドームの中で倒れていた。
「おい!しっかりしろ!」
急いで駆け寄るも、体が冷たくなっている。
「この馬鹿!真冬にこんな所で寝るんじゃない!」
「うっ…」
「起きろ!」
このままじゃドンドン体温は下がるばかりだった。
「クソっ…!」
体をたためる方が先だ。
直ぐに部屋の温度を上げて体を温める。
「緊急事態だから…後で殴られよう」
風呂に入れるのは流石に気が引けたから、服だけ着替えさせよとしたが‥‥
「何だよこれ」
背中や腕や足には打撲傷や、切り傷が多かった。
まだ真新しい傷にかなり古い火傷の跡もある。
「何で…いや、今は」
詩音の体を温めるのが最優先だった。
応急処置により体温は上がり、顔色も良くなってきてひとまず落ち着いた頃。
「うー…」
「詩音!!」
気怠そうな表情をしながら目を覚ました。
「あれ…何で?」
「何でじゃない!このお馬鹿!」
こっちは死ぬ気で心配していたのに、本人は何でもないような言葉を吐き、さらに俺を苛立たせる言葉を吐いた。
「しくった」
「は?」
しくったって何だよ!!
俺に見つかった事か!
それとも死ぬ気だったのか!
俺をこれ以上ないほどに怒らせているのに本人は何でもないような顔をしているのがムカついた。