第2章 第二章 未完成な音色
頭が痛い。
気持ち悪い。
時折私は強い頭痛に襲われることが有った。
一度目は八歳の頃。
捨て子だった私を広い育ててくれた孤児院の院長先生が亡くなった時。
そして二度目は17歳の時。
私ではない誰かの記憶を垣間見てしまった。
幼い頃から見続けた夢だったけど。
夢と言うにはあまりにも聡明で、まるで体験したような感覚だった。
そこで私は気づいてしまった。
度々見て来た夢は前世の記憶であると。
最初は直ぐに認められなかったけど、養父はあっさりと信じて受けれた。
世界中にはそう言った稀な体質を持つ人がるらしく。
中でも芸才を持つ人は共感覚や瞬間記憶能力等を持つ人が存在する。
その中で飛びぬけた能力を持つのが超能力者と言われているが、世間知られているほど万能でもずば抜けている者でもないと聞かされる。
ただ、冷媒体質だったり。
巫女(シャーマン)の家系では特殊な能力を持つ人は多いと院長先生が言っていた。
かくいう院長先生もその家系だったらしい。
私は前世の記憶を持ちながら時折頭痛に苦しまされていた。
音楽が切っ掛けだった。
前世で私は歌っていた。
でも病気で若くして亡くなった。
その時の心残りだったのかもしれない。
今でも音楽に関わっているのは。
前世で大好きだった人と歌を作って。
亡くなる直前に歌を残したけど、哀しい別れのメロディーを残してしまった。
幸せのメロディーを作りたかったのに。
だから、神様は未完成な曲を完成させろと私に命じたのかもしれない。
完成しきっていないあの曲を。
でも、どうしても続きを書こうとすれば頭が痛くて、書けなかった。
けれど、私を救い助けてくれた優しい養父に優しい音楽を作るあの人たちのおかげで私は今日まで音楽を失わなかった。
でも…
少し疲れちゃった。
ずっと走り続けていたから。
私は――。
「詩音!」
またあの声が聞こえた。