第1章 第一章 消えた天才作詞家
「今日もハズレた」
ガチャをしながら私は撃沈した。
大好きな王様プリンのストラップが欲しくてガチャガチャをするも今日も不発だった。
「くっ、私は王様プリンに嫌われているのか?」
本日も晴天なり。
でも私の心は雨模様だった。
何故なら現在、無職となった私は求人雑誌片手に路頭に迷っていた。
とりあえず漫画喫茶にて一夜を明かそうかと思っている。
実はつい先に少しやらかしてしまったのだ。
「単刀直入に言う、君には星影のプロデューサーになってもらう」
「は?」
「恩を返せ。Re:valeの千は千葉志津雄に良くしてもらっているだろう」
大手芸能事務所星影プロの重役に告げられたのは勧誘と言う名の脅迫だった。
「新人の如月あると…彼女を潰すのは簡単だ」
「勧誘と言う名の脅迫ですか」
反吐が出る。
星影は事務所とタレントとの絆が強いと言えば聞こえがいいけど、束縛して雁字搦めにしている。
「大手星影プロに入れるんだ。悪くない」
「断りします」
「は?」
「聞こえませんでしたか?お断りしますと言ったんですよ?耳鼻科に行くことをお勧めしますわ」
皮肉を言いながらにっこりと微笑む。
「貴様!自分が何を言っているか解っているのか」
「ええ、その脅迫はお断りします」
顔を顰めながらもまだ余裕がある素振りを見せるけど、私を舐めないで欲しいわ。
「星影に逆らえばどうなるか解っているのか!お前がプロデュースしているアイドルを…」
「私がプロデュースさーを止めれば問題ありません」
「は?」
私のプライドを舐めないで欲しいわ。
「私はアイドルの枷になるぐらいならば消えます」
「馬鹿な!自分が何を言っているか解っているのか」
「自分と短絡的な思考です事。私を餌に彼を引き抜くつもりでしょうが、そんなことはさせません」
星影の狙いは彼だろう。
デビュー当時から目を付けていたが、大物俳優の庇護下にある為に簡単に手を出せなかった。
だからこそ私に目を付けたんだろうけど。
私が許すとでも思ったの?
「見くびられたものですわ。どこの世界にアイドルを自分の保身のために売るプロデューサーがいますか」
「綺麗事を…そんなもの理想論だ」
嘲笑うこの男には解らないだろう。
私の切なる願い何て。