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流星の絆

第1章 第一章 消えた天才作詞家


❁❁❁ 万理side ❁❁❁


社長に誘われて、詩音が働く店に来たときは驚いた。

夜の店何て初めてで、少し如何わしものを想像していたけど。

中はすごく上品で、小さな舞台が見える。
そこで歌い、踊るホステスに俺は魅入られてしまった。

夜の店というよりも、小さな劇場のようだった。
周りにはテーブルが置かれており、ホステスが接客をしている。


「ここのオーナーは元はダンサーでもあるんだ。まさか、彼女と知り合いだったなんてね」

「社長…」

「さぁ、行こうか」

ここに詩音がいると思うとなんだか複雑だった。

見てくれは劇場みたいでも夜の店だし。


そんな中、奥のテーブルが騒がしかった。

「いらっしゃい音晴ちゃん」

「やぁ、緑ちゃん‥随分騒々しいね」

「ごめんなさいね?でもすぐに収まるわ」

グラスが割れる音と悲鳴が響き、客が怒鳴る。
他のスタッフやホステスも怯えているのに、大丈夫なんだろうか?


そう思っていたら、その場に現れたのはドレスアップをした詩音だった。

「えっ…」

「さぁ、これからショーの始まりよ」

「何言っているんですか!危ない…」

暴れている客に無防備に近づく詩音に俺は急いで止めようとするも。

「ここから先はいけませんわ」

「でも…」

「ここは舞台、ホステスたちは女優です。この舞台は彼女達の物です」

緑さんは穏やかだけど厳しい表情言い放つ。

「万理君、見守ろう」

「はい…」

本当は直ぐに駆け寄ってやりたいのに、できないことが歯がゆく感じる中、事態は思わぬ方向に進んだ。



「すごいな」

「当然よ。彼女はこの店で元ナンバーワンホステスだったのよ。彼女にかかればどんな不機嫌な客ですら大人しく猫のようになるわ。相手がヤクザであってもね?」

ナンバーワンホステス?

詩音が?

そんなの知らない。

俺は十年以上一緒にいたのに、何も知らない。


客と笑い合う詩音を見て胸がざわめき、拒否反応を示す。


俺の知らない詩音なんて見たくない。

そう思ったのに…


「お見事」

「ありがと…って、何にしているんですか」

すぐに俺の知っている詩音に戻った。

一瞬で女優の顔がはがれたけど、少しだけ安堵した。
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