第1章 第一章 消えた天才作詞家
引きこもり生活一週間。
家事は私が代わりにすることになり、万理がいない間はお留守番。
その間私は作家活動を行っていた。
「おお、中々の反響だ!」
ラノベに投降した私の小説は悪くない評価だった。
ちゃくちゃくと読者から評価が上がりつつある。
「月々の収入を安定させ、尚且つ外で働けばなんとかなる」
床に散らばる求人を見ながら思案する。
出来れば短時間で高収入がベストだが、めぼしい物は…。
「ん?時給2000円から。能力に応じて変わります。お酒飲める人歓迎。これいい!」
仕事は夕方から明け方まで。
拘束時間が短い割には給料が良かった。
「よしこれにしよう。他には…オタク歓迎?」
ディープなキャッチフレーズが気になり食らいつくと、いい就職先を見つけた。
「よし、早速売り込もう」
今日は遅くなると聞いていたし、好都合だ。
「すいませーん、求人を見てお伺いしたんで…」
「詩音ちゃん?」
「え!緑ママ!」
履歴書を持って売り込みに来たら、なんとのその店には昔お世話になったママにぐ前出会った。
「久しぶりね!どうしたの」
「職探しに…」
「あら?そうだったの」
十年過ぎても緑ママは綺麗なままだった。
いや、以前よりも美しくなった気がするんだけど。
「訳アリみたいね」
「はい…」
私を見るなり、緑ママはすぐに察してくれた。
「いいわ、いらっしゃい!」
「え?」
「これも何かの縁よ…」
「ありがとうございます!」
こんなにあっさりと決まるとは思わなかったので大助かりだ。
「何言っているの、貴女とは私にとって娘みたいなものなのよ。それに、貴女にはホステスの素質は十分にあるんだから」
肩をポンと叩き、不敵に微笑む笑顔はかつて六本木一番のホステルと呼ばれただけはある。
この笑顔に落ちない男はいないと言わしめた程だ。
まぁ、めでたく就職先が決まって万々歳だった。
先行き明るいな!
「じゃあ、明日からいいかしら?ちょっとややこしいお客もいるんだけど」
「お任せください!」
つい最近までは神も仏もないと思っていたがとんとん拍子に就職先が決まって私は上機嫌だった。