第27章 思惑絡むコンチェルト【起首雷同】
「話、聞かせてもらえますか?」
詞織が促すと、武田はすぐに頷いてくれた。
「金田、島田、大和の三人のことだな」
「森下って人もです」
伏黒がつけ加えると、「あぁ」と応じてくれる。
「そうか、森下の訃報も来ていたな。亡くなったことにも驚きだが、彼らが卒業してもう二十年近く経つのか……昨日のことのように覚えているよ。伏黒君ほどではないが、問題児だったからね。何が聞きたい?」
「変な噂、黒い噂、悪い大人との付き合い……」
話していると、「や~い、問題児~」と虎杖、釘崎の二人がちゃちゃを入れてきた。
近くにいた虎杖を殴りつけると、バランスを崩した彼が釘崎にぶつかり、揃って転ぶ。呆れた顔で、順平が「大丈夫?」と二人に声を掛けていた。
「あと、罰当たりな話もあれば」
虎杖たちに気をとられた伏黒の質問を詞織が続ける。
「黒い噂……問題児とはいえ、並の中学生の域は出んよ。だが、待て。罰当たり……」
「何か心当たりが?」
武田の反応に順平が問うと、答えたのは不良たちだった。
「アレじゃないですか?」
「あぁ、そうだな。八十八橋のバンジー」
「まだいたのか、A、B」
釘崎のこの不本意な呼び方を不快に感じないコイツらって、どんな心理をしているのか。
「八十八橋って?」
「自殺の名所。この辺で有名な心霊スポットだ」
虎杖に説明してやると、武田も思い出したのか「おぉっ、そうだ」と手を打った。
「八十八橋で深夜にバンジージャンプをするのが不良少年の間で流行ったんだ。いわゆる、度胸試しだね」
うんうん、と思い出してすっきりしたのか、武田は何度も一人で頷く。