第27章 思惑絡むコンチェルト【起首雷同】
「あぁ、やだやだ。束縛の激しい男って面倒ね」
「伏黒のヤツ、なんで怒ったんだ?」
「まぁ……それは僕が言うことじゃないかな」
うるさい。自分の愛情が重すぎる自覚くらいある。
だが、しかたがないだろう。こっちは九年も片想いを拗らせているのだから。
そこへ、「コラーッ!」と初老の男性が声を張り上げてやって来た。
「何だ、君たちは! 他校の生徒が入っちゃいかん‼」
「アンタこそ何よ! あぁん⁉」
「えっと……どう見ても校務員さんだと思うけど……」
「釘崎はなんで強気なの?」
そこへ、「ちょっと待つっス!」とタイミングよく新田がやって来て、初老の校務員――武田の前に出る。
「入校許可はもらったっス」
新田の入校許可を見て、武田も合点がいったのか、「あぁ」と目を丸くした。
「校長から話は聞いているが、君たちがそうなのか。みんな若いな」
一同の顔を見渡し、不意に武田が目を丸くする。
「伏黒君、それに神ノ原君も」
「……ども」
軽く会釈する伏黒の隣で詞織も静かに頭を下げた。
「覚えられてるぅ~」とからかってくる虎杖がウザい。
「この人はこの学校 長いんスか?」
小さく尋ねてくる新田に、詞織は「たぶん」と同じように小声で頷いた。
「武田さんは正規の方なんで」
「じゃ、後 任せたっス」
伏黒の答えに、新田はグッと親指を立ててくるが、それは職務放棄ではないか。
術師のサポートが仕事だろう。丸投げするな。
まぁ、事前に入校許可をもらった際に、軽く説明はしてあったようだが。