第27章 思惑絡むコンチェルト【起首雷同】
「いや、アイツらに聞いた方が早いな」
「よし。おい、バカA、バカB! 伏黒(コイツ)に何された?」
「釘崎さん、呼び方」
虎杖の提案に便乗した釘崎だが、不良たちに対する呼び方がひどい。
まぁ、校舎の陰でタバコを吸う奴らだから、間違ってはいないと思うが。
不良たちもキレたり訂正したりすることなく顔を見合わせる。
「俺ら……っていうか、この辺の不良、半グレその他諸々、伏黒さんにボコられてますから」
再び三人は固まり、今度は伏黒に視線を向けてきた。
「……ボコッ……た」
「なんでさっきからカタコトなんだよ?」
「何してんの? オマエ、何してんの?」
「え〜……」
釘崎に胸倉を掴まれ、虎杖に顔を掴まれ、順平が青い顔でドン引きする。
「待って、三人とも! 半分くらいはわたしのせいだから!」
詞織が三人を止めてくれたおかげで、ようやく解放された。
「詞織さんのせいっていうか……この辺りは治安が悪いですから。イジメとかカツアゲを目撃した伏黒さんにそのままボコられたり、被害者を庇う詞織さんを伏黒さんが助けにきてボコったり……色々ありましたね」
「そうそう。あとは、詞織さんが可愛いからってナンパして、ちょっかい出そうとしてボコられるってパターンも結構 多かっ……」
「おい……」
聞き捨てならない言葉に、伏黒は底冷えするような声で二人を睨みつける。
「俺もこれで我慢が利くようになった。一回なら聞き間違いとして許してやる……けど、オマエら、さっきから詞織 詞織って何回呼んでんだよ。俺が言ったこと忘れたか?」
「「ひっ……す、すみません‼」」
ピシッと四十五度の角度で二人の不良たちは頭を下げた。
「メグ、何 怒ってるの? 名前くらい別にいいでしょ」
「イヤだ」
詞織が自分以外の人間に馴れ馴れしくされるのは我慢できない。