第27章 思惑絡むコンチェルト【起首雷同】
「あ~、唯一の手掛かりがぁ~」
「ドンマイ! 今から行く中学に何かあるって!」
落ち込む新田を虎杖が励まし――やがて件(くだん)の中学に到着した。
――さいたま市立 浦見東中学校。
「え……中学って、ここ……?」
「神ノ原さん、知ってるの?」
校舎を見上げる詞織に順平が声をかけるが、驚く彼女の耳には届いていない様子だ。
入校証を取りに行った新田を待ちつつ、敷地内を軽く見て回っていると、校舎の陰でタバコを吸う二人の男子生徒を見つける。
典型的な不良に、順平が怯えて虎杖の背中に隠れた。
「おっ、分かりやすいのがいるわね。ブン殴って更生させましょ」
ニヤリと笑う釘崎に、虎杖が「なんで?」と首を傾げる。
伏黒たちの視線に気づき、二人の不良が睨みつけてきた――が、すぐさまギョッと目を見開き、顔を青くさせ、慌ててタバコを捨ててもみ消す。
「「おっ、お疲れ様です‼」」
ピシッと四十五度の角度で二人の不良たちは頭を下げた。
「フッ、何よ。理解(わか)ってるじゃない」
「オーラってやつは、隠しても滲み出るもんだな」
「え、なんで二人ともドヤ顔なの?」
うんうんと誇らしげな釘崎と虎杖に、順平がツッコミを入れる。
だが、不良たちは頭を上げ、伏黒と詞織に視線を向けた。
「「卒業ぶりですね、伏黒さん、詞織さん‼」」
えっ、と虎杖と釘崎、順平は固まり、伏黒と詞織を見る。
「わたしたちの出身校だから、ここ」
「はぁっ⁉ オイ、伏黒‼」
釘崎に強い口調で呼ばれ、伏黒は視線を背けた。
「俺、中学、ココ」
「それも驚きだけど、そうじゃねぇだろ」
「何した? オマエ、中学で何した? 詞織にビビってる感じじゃねぇよな⁉︎」
「もしかして、伏黒くんって……不良だったの?」
三人に詰め寄られ、しまいには虎杖と釘崎には顔をむぎゅむぎゅと鷲掴みにされる。