第27章 思惑絡むコンチェルト【起首雷同】
――森下家式場
葬式の案内板、喪服を着た人たちが集まる家の近くにミニバンを停め、伏黒たちは新田が戻るのを待っていた。
「葬式……」
呆然とする虎杖に、伏黒は何も返せない。
「ここがその知人の家?」
「そうだと思うけど……」
釘崎にも、詞織は曖昧な返しをする。
だが、新田の慌てぶりから察するに、間違いないだろう。
「まさか、亡くなったってこと?」
「知人本人が亡くなったとは限らない。今は新田さんを待とう」
順平にそう言うも、タイミング的にみて、この言葉が希望的観測なことは伏黒自身が一番よく分かっていた。
ほどなくして、新田が戻って落胆したように肩を落とした。
「……参ったっス。他の三人と同じ死に方っス」
やはり、死んだのは被害者三人の共通の知人だったようだ。
全員をミニバンに乗せ、自動車を発進させる。その道すがら、新田は聞き込みの結果を話してくれた。
「実家暮らしなんでオートロックじゃないっスけど、玄関の前で殺されてるっス」
彼は以前から一人で帰宅した際、「鍵が開いているのにドアが開かない」と他の家族に話していたらしい。
念のために確認したが、両親も被害者三人と息子の関係はよく知らないようだ。