第27章 思惑絡むコンチェルト【起首雷同】
「今 向かってるのはどこ? 情報、書いてないみたいだけど……」
言われて資料を表示させているタブレットに視線を落とす。
確かに、被害者の名前と顔写真、現場の状況は書いてあるが、それ以外の情報はない。
「情報の反映が間に合わなかったんスよ。今 向かってるのは、被害者たちの共通の知人っス。その後に中学に行く予定っス。五人にも術師視点で色々と探って欲しいっス」
詞織の問いかけに、新田が答える。
呪術関係の知識は詰め込めるだけ詰め込み、呪術も特訓してもらった。
まだ最下の四級でしかないが、皆の足を引っ張らないように頑張ろう。
「それにしても、この任務って五人で行く必要あんの? それとも、なんかヤバいの?」
「虎杖君の言う通り、簡単な任務ってわけじゃないっスけど、五人で行くのはちょっと大袈裟っスね。まぁ、今回は吉野君の実力チェックに合わせて、皆と連携が取れるようにっていう狙いがあるって聞いてるっス」
人数が多いのも、万が一の保険も兼ねているらしい。
なるほど、と順平は内心で頷いた。
どうやら、この任務の肝は自分にあるようだ。気を引き締めて行かなければ。
緊張した様子の順平に気づき、虎杖がニッと笑みを浮かべる。
「大丈夫だって! 最初から何もかんも上手くいくなんて思ってねぇし、上手くいったら儲けもの! 気負いすぎると逆に上手くいかなくなるぞ。何があっても俺たちがフォローするから、安心して背中預けろ! なっ!」
「あんまビビってると、助けてやんないわよ」
気負いすぎると逆に上手くいかない、か。
虎杖の言う通りだ。
釘崎には苦笑いをしつつ、虎杖に「ありがとう」と声をかける。