第27章 思惑絡むコンチェルト【起首雷同】
「六月・盛岡――金田 太一。八月・横浜――島田 治。九月・名古屋 大和 広。三人とも同じ状況で死んでるんスよ」
――呪術高専 補助監督 新田 明
ミニバンを運転しながら、新田が説明してくれる。
現在 順平は、虎杖、伏黒、詞織、釘崎と一年総出で初任務に当たっていた。
助手席に釘崎、後部座席の手前に自分と虎杖、一番後ろに伏黒と詞織が座っている。
新田の話によれば、彼らは自宅マンションのエントランスで、呪霊により刺殺された。
しかも、全員が死ぬ数週間前から『オートロックの自動ドアが開きっぱなし』と同じ苦情を管理会社に入れている。だが、他の住人に心当たりはなかったそうだ。
「でも、日付も場所もバラバラ。同じ呪霊にやられたんですか?」
伏黒の問いに、虎杖が「なぁなぁ」と口を開く。
「自動ドアって呪霊のせい? 呪霊ってセンサーに引っかかんの? カメラとか写んねぇよな?」
「センサーじゃなくて、ドアオペレーターが呪霊の影響でバカになったみたいっス」
ドアオペレーターとは、ドアの開閉を制御している機械なのだと、新田が補足してくれた。
「で、同じ呪霊の仕業かって話っスけど、残穢だけだとちょっと断定できなかったっス」
なにせ、六月から始まり、すでに時間が経ち過ぎている。
ひとまず共通点を調べたところ、三人とも同じ中学に二年間在籍してたことが分かった。
「っていうと、昔 三人が同じ呪いを受けて、時が経ってそれが発動したって感じ?」
「そうっス。それが濃厚っス」
「スゲー、釘崎」
「よく分かったね、釘崎さん」
パチパチと拍手を送る虎杖と順平に、釘崎は「当然」と得意げだ。