第27章 思惑絡むコンチェルト【起首雷同】
「だからっ! 開きっぱなしなんだよ! オートロックのドアが‼」
マンションのエントランスに、柄の悪い男の怒号が響き渡る。
先週も同じように電話をしたのに改善されていなかったのだ。
「なんのために高ぇ管理費 払ってると思ってんだ‼ あぁ⁉」
謝罪やら釈明やらを並べ立て、点検はしたが異常はなかったと言うオペレーターに苛立ちが募る。
いったい、どこをどう点検したというのか。異常がないなんてありえない。
現にこうして、ドアは開きっぱなしではないか。
「ざけんな‼ 今日中だ‼ 今すぐ点検しろ‼ 土日⁉ 関係ねぇよ‼ 殺すぞ‼」
そんな男の背後に、ゆっくりと呪霊の影が迫る。
音もなく忍び寄る呪霊に気づくことなく、男は最後まで怒鳴り散らしていた。
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