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夢幻泡影【呪術廻戦/伏黒 恵オチ】

第26章 狂おしいほどのパッショナート


「俺は全部 オマエが初めてだよ。誰かを好きになったのも、キスも、女を抱くのも……好きすぎて……どうにかなっちまいそうだ……」

「メグ……ごめんなさい……イヤな思いさせて……わたし、メグのこと考えられてなかったね……ほんとに、ごめんなさい……」

 眉を下げて、詞織がこちらを見上げてくる。
 夜を切り取ったような瞳には、恋焦がれる自分の顔が映っていた。

「俺以外のヤツを頼るな。全部 俺がどうにかしてやる」

「うん」

「身体も触らせるな。なんだよ、間接キスって……直接キスしなきゃいいわけじゃねぇだろ。あんな可愛いこと他のヤツにすんなよ。垂水にも極力 関わるな。式神のことなら、俺が吉野に教えてやる」

 詞織の手を取り、指先に口づけ、舌を這わせる。彼女の目元が揺れ、次第に熱を帯び始めた。

「もっと自覚しろ。オマエ、可愛いから……いっつも気が気じゃない。いつか誰かに掻っ攫われるかもって……不安でたまらねぇ」

「うん」

 縋るように彼女の細く小さな身体を抱きしめる。

「メグのしたいようにして。それで安心できるなら。だって――……わたしの“身体”はメグのモノでしょ?


 ――「心は……詩音にくれてやる。俺以上に詞織を愛してるアイツに。だから、せめて身体は俺にくれ」


 交流会があった日に、本部の医務室で自分が言ったことだ。

 期待にゴクリ喉が鳴り、頭の芯が痺れ、興奮して身体が熱くなった。
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