第26章 狂おしいほどのパッショナート
「優しくできねぇぞ」
伏黒は上の服を脱ぎ捨て、詞織の頬に触れ、口づける。彼女はくすぐったそうに身をよじり、小さく笑った。
「メグは気を遣いすぎ。わたし、そんなにヤワじゃない」
詞織が手を伸ばし、あやすように伏黒を抱きしめ、頭を撫でてくれる。それだけで、胸の奥で燻っていた苛立ちは、少しずつ落ち着いてきた。
「気なんて遣えてねぇだろ。優しくしたいけど、オマエのことが好きすぎて、毎回がっついちまう。どうせ一回じゃやめてやれねぇから、まだ理性が残ってる最初だけ優しくヤッてるだけだ」
けど、今日はもう、ほとんど理性なんて残っていない。
伏黒は再び彼女に口づける。
唇に吸いついて、上顎をなぞって、舌を絡めて、唾液を啜って……。
詞織の口の中、すげぇ気持ちいい。
キスだけで身体が昂ってくる。
なけなしの理性も飛んでいきそうだった。
縋るように服を掴んでくる手を取り、指を絡める。
詞織の夜色の瞳が熱に潤み、頬が紅潮して、艶かしい吐息を繰り返していた。
詩音も、星也も、星良も、垂水だって知らない。
虎杖も、釘崎も、吉野も、五条も……世界中の誰も、詞織のこんな姿を知らない。
自分の手でこんなにも乱れてしまう詞織が可愛い。胸が張り裂けそうなほど嬉しくて――たまらなく興奮する。
衝動のままに、そして感情のままに彼女の白い肌に所有印をいくつも散らし……伏黒は詞織に、狂ってしまいそうなほどの己の想いの丈を刻みつけた。