第26章 狂おしいほどのパッショナート
「俺だ」
全員が各々の部屋に戻ってからしばらく、伏黒は詞織の部屋を訪ねた。
「メグ、どうしたの?」
すでにルームウェアに着替えを終えた詞織が出迎えてくれる。
伏黒は抱きしめるようにして中に入り、後ろ手で鍵をかけた。
「め、メグ?」
首筋に顔を埋め、彼女の柔らかで甘い匂いを胸いっぱいに吸い込む。
「……詞織……」
我慢できなくて、伏黒は詞織に口づけた。
彼女の腰を引き寄せ、貪るように少し乱暴なキスを繰り返す。
「んっ……はぁ……メグ、どうしたの? 怒ってる?」
「怒ってる……っていうか、ちょっと苛ついてる」
「え……? あ、わぁ……っ⁉︎」
彼女を抱き上げ、ベッドへ運んだ。そして伏黒は、そのまま小さな身体を押し倒した。
「許したけど……交流会の最後、自分から垂水に会いに行ったのはイヤだった。俺以外との間接キスを軽く考えてるのも気に食わない。吉野のためにそれをやったのもムカつく。初恋が俺じゃなかったのも……」
そこまで言って、伏黒は大きくため息を吐いた。
「なんか……俺ばっかオマエのこと好きみたいだ……」
自分はいつだって、詞織のことを考えている。
初めて会ったときからずっと。
気がつけば目で追っていて、傍にいられない時間は不安で、自分以外の人間と話している様子は落ち着かなくて……。
今はもう両想いで、恋人のはずなのに……それでもまだ安心できない。いや、片想いをしていた頃より、どんどん欲張りになっている。
自分だけのモノになったのだから、他の誰も見ないでくれ。
誰にも触れないで、話さないで……片時も離れず傍にいて欲しい。
そんなことが無理なのは分かっている。それでも……。