第26章 狂おしいほどのパッショナート
「お、恵か」
五条がニヤニヤしながらこちらを見てくる。ぶん殴りたい。
虎杖と釘崎もニヤついているし、順平も好奇心を隠せていない。
伏黒は大きくため息を吐き、手短に済ませることにした。
「小一」
「え、早っ!」
「伏黒、スゲー!」
「オイ、伏黒! サバ読んでんじゃねぇだろうな⁉︎」
順平が驚き、虎杖が目を輝かせ、釘崎が疑いの眼差しで見てくる。
「……そう、なんだ……」
落ち込む詞織に、伏黒の良心が痛んだ。
「ちなみに、お相手は?」
「質問は一つでしょ」
もちろん、詞織である。
どうしても我慢できなくて、寝ている詞織の唇を初めて奪ったのが小学一年で出会ってしばらく経った頃のことだ。
そして、五条もそれは察しているだろう。
分かっていて聞いてくるのだからタチが悪い。
「詞織」
彼女の名前を呼び、耳元で小さく囁く。
「ごめん。我慢できなくて、オマエが寝てるときにキスしてた」
周りに聞かれないようにそう言うと、彼女は湯気が出そうなほど顔を真っ赤にして俯いたのだった。
「ほーぅ? へぇ〜? お熱いことで」
そう思うなら、帰してくれないか。
早く二人の時間が欲しいのに。
「なんか、二人を見てると彼女がほしくなってくるね」
「だな」
順平と虎杖が話していると、バチッと二人の視線と釘崎の視線が絡む。
「悪いわね。タイプじゃないわ」
「いや……えっと……うん、ありがとう。大丈夫」
「俺も釘崎はなんか違う」
「あ"ぁ"? 虎杖。喧嘩売ってんなら買うぞ、コラ」
「二回目始めまーす。クジを戻して下さーい」
ガシャガシャと軽く混ぜて、筒が差し出される。