第24章 パッションの爪痕【完遂~呪術甲子園】
「何で……わたしだけ、何もない……わたしが無理させたのに……どうして……ッ!」
浅い呼吸を繰り返し、詩音が首を左右に振った。
「いいの……あなたが、無事なら……それで……う、うぁ……はぁ……あなたがいてくれるだけで、あたしは……あ、あぁ……っ!」
断続的な悲鳴を上げながら、それでも詩音は微笑む。
「詞織が無事でよかった……痛い思いをしなくてよかった……詞織に頼られて嬉しい……」
――愛してる。
そう、譫言のように繰り返すこと詩音を、詞織は抱きしめ返した。バチバチッと火花が爆ぜ、詩音が身体を震わせる。
この痛みを代わってあげられたらいいのに。
「ありがとう、詩音……」
小さく呟くように言うと、彼女の痛みに震える手が頬に触れる。
そして、痛みに青ざめながらも、詩音は嬉しそうに微笑んだ。
* * *