第23章 滾る想いのコン・アニマ【黒閃~規格外】
「大丈夫。順平を傷つけたくないからね。手加減はするよ」
――【術式順転『蒼(あお)』】
――【術式反転『赫(あか)』】
五条が組んだ印を解き、虎杖たちが戦っていた森の方角へ向けて指を弾いた。
「――【虚式『茈(むらさき)』】」
ふわっと木々が葉を散らしたかと思うと、順平は思わず目を閉じ、顔を背ける。
ゴォッと音を立てて、もの凄い衝撃波がビリビリと空気を震わせた。
【澱月】に庇ってもらわなければ、木っ端微塵だったかもしれない。
踏ん張っている足が痺れてきて、膝が崩れ落ちそうだ。
ようやく衝撃が落ち着き、ゆっくりと目を開くと、順平の背筋が凍った。
五条から森へ向かって真っ直ぐ、数十メートル先が消し飛んでいたのだ。地面は抉れ、草木も残ることなく深い溝が刻まれている。
これでは先ほどの呪霊を祓うことができたのか、それとも逃げられたのかも分からない。
最強の呪術師――……え、手加減してコレ?
こんなことができる人間を、本当に人間と呼んでいいのか?
「一件落着‼︎ ……って、わけにはいかないか」
グッと親指を立てていい笑顔を浮かべるも、すぐに真面目な顔して、空色の瞳を隠してしまう。
「順平、怪我はない?」
「は、はい……それより、聞きたいんですけど……」
順平は【澱月】の後ろから出ることなく、警戒した眼差しを五条へ向け、固い声音で尋ねた。