第23章 滾る想いのコン・アニマ【黒閃~規格外】
「ご、ごご、五条先生⁉︎ え、宙に浮いて……え⁉︎ 浮いてるんですけど⁉︎」
「うん、そうだね」
いや、そんな台詞が聞きたいわけではない。
「僕の術式の効果だよ。しっかり捕まっててね」
言われずとも離す気はない。万が一にでも落ちることがあれば、五条も道連れである。
いや……五条は最強の呪術師。もしかしたら、この高さから落ちても死なないかもしれない。
え……そのときは死ぬのって自分だけでは……。
サー……と顔を青ざめさせる順平に小さく笑い、五条は「さて」と目隠しを外し、綺麗な空色の瞳で地上を見下ろした。
「どこからいこうか」
『《どうやら、ここまでのようですね》』
え、と思わず声が漏れる。頭の中に直接 声が響く違和感が気持ち悪い。
「五条先生⁉︎ 順平⁉︎」
声の方を見れば虎杖と体格のいい京都校の男子生徒がこちらを見上げていた。確か、東堂と呼ばれていたはずだ。
それに目から樹木が生えた気味の悪い呪霊もいる。頭に響く声は呪霊のものだろう。
「おっ……悠仁の呪力のレベルが格段に上がってる! そうか、葵か! 確かにアイツは悠仁と相性良いだろ」
葵――おそらく、東堂の下の名前。
五条は呪力を視認でもできるのか?
「特級呪霊とやり合ってるみたいだけど、これなら心配いらないね……となると……」
ギュッと肩を寄せられたかと思うと、瞬きした次の瞬間には、地上に降りてきていた。
視線の先には、楽巌寺と小型の斧を持った禿頭の男――たぶん呪詛師――がいる。
え……っていうか、状況に頭がついていかないのだが。
「優先すべきはオマエだな」
禿頭の男が五条に気づき、ひどく興奮した様子で彼へ向けて斧を振りかぶる。