第23章 滾る想いのコン・アニマ【黒閃~規格外】
「やっぱ男はボクみたいに、女の子の話を聞いてあげる器量がないとねぇ。あ〜ぁ、こんなにいい男なのに、なんで詞織ちゃんに振られちゃったんだか。今頃、伏黒クンとイチャイチャしてんだろうなぁ。いいなぁ」
「オマエも同レベルだろ。話聞いてほしいなら言えよ。金取るけどな」
「アンタのどこに金をとれるだけの聞き手の器量があんのよ」
三人の登場に、歌姫は思わず安堵する。
特に垂水は自分よりも等級が上の一級術師で、特級呪霊を単独で退けたこともある実力者だ。
それに加えて真依と野薔薇もいる。援軍として心強い。
「わぁ〜、女の子がいる! モテモテだぁ〜!」
「人の話 聞いてんのかよ」
春太とのあまりの温度差に野薔薇が頬を引き攣らせる。
「どうします? 援護した方がいいですか? 誤射しちゃうかもしれませんけど」
銃を取り出そうとする真依に「いらな〜い」と言って、垂水は前へ出た。彼の周りに水流が渦巻く。
「ちょっと、あたしの出番を取る気⁉︎」
「アンタ、あんま前に出ると巻き込まれるわよ」
「はぁ⁉︎」
そんな真依と野薔薇のやり取りに目をくれることもなく、垂水はポケットに手を入れて悠然と構えていた。
「オマエらが余計なことするからさ、ちょ〜っとムシャクシャしてんだよねぇ。歌ちゃん、殺していいんでしょ?」
「歌ちゃんって呼ぶの止めろ! 殺すのは禁止! 情報を引っ張らないと……!」
相手の目的、仲間、本当に高専に内通者がいるなら、その情報を吐かせなければ。