第23章 滾る想いのコン・アニマ【黒閃~規格外】
『《なっ……⁉︎》』
「成ったな」
己の拳を見つめる。
今まで何度も呪力を纏わせ、拳を奮ってきた。それが、覆るような感覚。
「今のが【黒閃】……‼」
纏わせた呪力が、今までと全然違う。
まるで、自分の呪力ではないように。
「虎杖、オマエは今、呪力の“味”を理解したんだ」
例えるなら、今までは、口に入れたことのない食材を何となく鍋に入れて煮込んでいるような状態だった。
それが、【黒閃】を経て、呪力と言う食材の“味”を理解し、呪術師(シェフ)として三秒前の自分とは別次元に立った。
そう言って、東堂は手を叩き、虎杖を称賛した。
「おめでとう(コングラチュレーション)、超親友(ブラザー)。オマエは、強くなれる」
花御と再び向き合うと、虎杖の放った【黒閃】によって歪んだ腕が、パキパキと音を立てながら修復される。
「治んのか⁉︎」
「呪霊の身体は呪力でできている。俺たち人間とは違い、治癒に高度な【反転術式】は必要ない。特級となれば、あの程度の怪我はわけないさ」
だが、確実に呪力は削れ、急所である頭を潰されれば終わり。
うん、と虎杖は頷く。
「さぁ、調理を始めようか」
* * *