【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第13章 親の思いと子の思い
それからミスティは皆と一緒に食事をとり夫人と料理をしたりして過ごした。世話人や衛兵とも顔見知りになり会えば会話もするようになった。最初に夫人が言ったようにアリスは自分の事は自分で何でもやっていた為、部屋の外から様子を見る程度にしていた。アリスの1日の予定は大体把握した。自分の立ち回りも決めた。
心配は無いと言いたいが、強いて言うならアリスとの距離。対象者と仲良くなる必要はないが、今回は子供。少し懐いてくれた方が良いと考えていたが進展なし。
夫妻の出発が明日に迫った夜、明日からどうしようとベッドの上でゴロゴロ悩んでいるとコンコンとドアを叩く音がした。
「ミスティさん、一緒にお茶でもどうかしら?」
ドアを開けるとティーセットを乗せたカートを携えた夫人が立っていた。
──
「お口に合えば良いけど…」
コポコポとカップに注がれる琥珀色の液体。湯気を立てふわっと良い香りをさせたカップとソーサーを渡された。
『有難うございます。戴きます。』
カップに口を付け紅茶を味わった。
『…美味しいです。』
「そう?良かった!これもどうぞ。」
可愛らしいクッキーが何種類か乗ったお皿を勧められた。夫人が作ったようだ。可愛い…と呟き1つ摘んだ。優しい懐かしい味がした。
暫し、紅茶とクッキーを味わった2人であったが、夫人が口を開いた。
「…アリス、どうかしら?」
『アリス様ですか?10歳とは思えないしっかりしたお嬢様だと思います。』
「そう…」
溜息をつく夫人にミスティは気になっていた事を聞いてみることにした。
『…先日、ピアノの先生と何かトラブルでもあったのでしょうか?』
「あぁ、そうよね。ミスティさんも居合わせていたものね。実はね…」
夫人から聞くに理由は分からないがアリスが先生が言ったことに対し反抗するような事を言い先生が腹を立てたようだ。
「実は、ピアノだけじゃないの。最近になって立て続けにこういう事があってお稽古事の先生やお勉強を見てくれていた先生が降りてしまったの。」
夫人はどれも理由が分からず心配していた。
「あの子、頑張りすぎてるような気がして…明日からアリスの事、宜しくお願い致します。」
夫人から深々と頭を下げられたミスティは悩んだ挙句、善処しますと答えた。