【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第13章 親の思いと子の思い
主夫妻の提案で任務までの1週間、この豪華な屋敷で過ごすことになったミスティ。今は任務ではないからとゲストルームをあてがわれ、自由にしてくれて構わないと言われた。
『こんな豪華な部屋、落ち着かないわよ。』
ベッドもソファも大きくてふかふか。窓も大きく日当たりが良い。
『…どうやって時間潰したら良いの?』
日々、任務や自身の諜報活動の為に時間を使っているミスティ。時間があれば鍛錬に励む毎日。そんな自分にこの急に出来た時間はどうしたら良いのか困った。せめてカレンが居てくれたならと。
『…屋敷内を見て回ろう。』
先程、レインに図面は見せられたが自分の目で見ておきたいと思っていたから丁度いいと思い部屋を出た。
忙しなく行き交う執事や世話人に頭を下げながら屋敷内を歩き見て回った。大広間に厨房や浴室…全てが規格外だ。
『これを3人で…正気?』
衛兵も居るが、CP3人で対応するには広すぎる。依頼人からの要望を叶えながらレインが考えたようだが…
(全ては私にかかってるってことか。)
今までは護るというよりは狙う側だったミスティの任務。私みたいなのが子供を護れるのだろうか。傍に居ても良いのだろうか。アリスのような子供はそういう所に敏感だ。
人を護るために人を傷付けてきた両手を見つめミスティは悲しげに呟いた。
『やっぱり向いてない…私』
────
部屋に戻る途中でピアノの音が聞こえてきた。音のする部屋の前で立ち止まり暫く音に耳を傾けていた。
アリスが弾いているのだろう。10歳にしては難しい曲を弾くのだなと感心したミスティではあったが、何だか寂しそうな音色だった為、気になった。
すると中から何やら人の話し声がし、急にドアが開いた。
「あら、失礼。」
初めて見る女の顔だった。女はミスティの顔を見ると、フンっと鼻を鳴らしツカツカとヒールの音をさせ出て行った。
中を覗くと、ピアノに向かうアリスの姿があった。暫くして夫人が部屋にやって来て困ったような笑みをミスティに向け、部屋の中のアリスに声を掛けた。
「アリス、どうしたの?」
「……。」
「先生、怒ってらしたけど何かあったの?」
夫人が優しく聞くもアリスは黙ったままだ。ミスティは聞かない方が良いだろうと判断し部屋を離れ自室に戻った。