【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第12章 友達からのお願い事
レインに連れられミスティは大きな扉の前に来ていた。
「…分かってるな?」
『はい…』
──
『Mr. & Mrs、初めてお目にかかります。世界政府 CP所属ロゼ・ミスティと申します。』
「……。」
黙ったままの夫妻にミスティは続けた。
『この度の航海でご不在の間、アリス様の警護をお任せ頂きたく此方へ参りました。』
ミスティは反応がない事に不安を覚えた。おそらく数歩後ろに控えるレインもだろう。いつもなら頭ごなしに却下されてきたのだから。
「…君は強いのか?」
ピクっと反応したのはミスティではなくレイン。今までで初めての質問だった。
『一(いち)CPとして恥ずかしくないスキルは身に付けているつもりです…決して人に誇れるようなものではありませんが。』
「…そうか。」
暫し主は考えるように下を向いた。すると夫人が優しい声で聞いてきた。
「あなた、子供は好き?」
『子供…』
ミスティは答えに困った。
「…どうかしら?」
『…分かりません。』
「え!?」
主夫妻は意外な答えに驚いた。控えていたレインは黙ったままでミスティを見つめた。
「君、それはどういうことだ?」
『…私は子供と接した事が無いんです。おかしいと思われるかもしれませんが。私は一人っ子です。幼少期から周りは大人や自分よりも年上の者しかおりませんでした。同じ歳の知り合いは1人しか…』
そこまで言いミスティははっとした。
『…申し訳ございません。喋りすぎました。』
「…いや、いいんだ。娘を紹介しよう。彼女をアリスの部屋へ。」
主が世話人へそう伝えると夫人が自分がと進み出た為、ミスティは夫人と共に部屋を出た。
残されたレインに主は言った。
「今まで悪かったね。でも断り続けた甲斐があった。君と彼女になら娘を任せられる。」
「…有難うございます。しかし何故ロゼを?」
「今までの女性は君への恋情が目立ってね。まぁ、恋愛は自由だが恋情の相手と一緒でいざと言う時に娘を守りきれるか不安だった。」
「申し訳ございません。私の指導不足です。」
レインは謝罪した。それはコリンにも言われたことだ。
「でも彼女は違う。君にとっては複雑かもしれんがね。」
主は笑って大事にしなさいとレインに言った。