【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第10章 砂の王国での出会い
砂漠の国は昼と夜の寒暖差が激しい。昼間は茹だるような暑さだが夜や明け方は気温が一気に下がる。
『…ん』
ミスティは微睡みの中、温もりを求めシーツを手繰り寄せようと身を捩った。が、微動だにしない自身の身体。
『ん…』
心地よい微睡みから抜け出せずに居たが、外からの光に目が慣れてきた所で自身の置かれている状況を確認しようと身体を起こそうとした。
何かが引っ掛かるというか何かにがっちり後ろからホールドされており身動きが取れない。
(あれ?)
視線を自身のお腹に移し直ぐ戻した。
(人の腕!?)
ミスティは焦った。思い出せ思い出せと言わんばかりに頭をフル回転し今の状況になるまでに起こったことを整理した。
(カジノで絡まれて助けてくれたレインと一緒にホテルまで来たのは覚えてる。レインはまた出ていってソファでそのまま眠ってしまったはず…)
だが、ミスティが居るはずのソファは目の前に鎮座しておりここはベッドの上。どうやってベッドに…
恐る恐る振り返ると、見事に鍛え抜かれた胸筋が眼前に迫っていた。
『っ!』
思わず叫びそうになり口を抑え顔を上げるとスーっと寝息を立てるレインの寝顔があった。
(え、ちょっと、どうなってるの?え、何でお互い服脱いでるの?)
傍から見れば情事の後のような光景にミスティは目眩がした。幸い下着は身に付けていたので致していないことは確認出来たが非常に宜しくない状況だ。
腕を解きベッドから抜け出し散らばった衣服を身に付けていると、
「…いい光景だな」
若干掠れた声でそう言われた。振り向くと、横になったまま此方に顔を向けるレインと目が合った。
『えっと…おはようございます。』
「あぁ。」
『私は何故ベッドに…』
恐る恐る聞くとレインが半身を起こし答えた。
「…覚えてないのか?」
『あの…まぁ、はい。全く覚えていません。』
「…ならそのまま忘れろ。」
『えっ…』
突き放されたように感じたミスティは不安になりレインを見つめた。
「思い出したいならこっちに来い。再現してやる。」
ミスティは事を察し、顔を真っ赤にして衣服を掴みシャワー室に駆け込んだ。
そんなミスティを嬉しいような困ったような微妙な表情で見ていたレインの姿と呟きを誰も知らない。
「朝から煽るな、バカ」