• テキストサイズ

【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった

第58章 人魚姫の涙


「───おれがお前の母親を殺したと…知ってたとはどういうわけだしらほしィ……!!!」

「しらほし……!?」

苛立ちを隠せないホーディに王女はぽつりぽつり話し始めた。

「───事件から数年後……メガロがこっそり教えてくれました……この子は元々ネプチューン軍のペット。"あの日"全てを見ていたのです……」

王女に寄り添うように隣に居るサメのメガロ。10年前のあの光景を忘れたことは無かったメガロは、威嚇するかのようにシャーと声を上げる。

「しらほし姫……!!ではなぜそれをわしらに!!」

「───言えば誰かがホーディ様をお恨みになると思いましたので……!!」

「!!?」

「それではお母様が悲しまれます……!!」

「え……!?」

「お母様と交した…最後のお約束なのです……!!!」

戸惑う周りのものとポロポロと涙を流す王女。

「犯人様がどちらのどなたでも決して憎んではいけないと……!!」

「!!!」

「……!!」

「それで……!!」


───犯人がどこの誰であれ私の為に怒りや憎しみに取り込まれないで…


王子達は死にゆく母が残した言葉を思い出していた。

「10年前の……!!母上の言いつけを守って…!!お前……この事実を……!!甲殻塔で一人…!!ずっと抱え込んでいたのか……!!!」

母の死が仕組まれたものだと知りながら一人で抱え耐えてきた王女。実の父や兄達でさえそれに気付くことは無かった。

(親を殺した者を憎まんじゃと!!?たとえ死にゆく母の願いだとて…それを実際に聞き受けるのは不可能に等しい……!!なんと素直で健気な娘じゃ……!!!一体誰にマネが出来ようか!!!)

ジンベエは王女の為人に感動する一方で、無力だった自分を呪った。

「ジャハハハハハハ!!!メガロォ……!!お前よくこのマヌケな女を選んで話してくれた!!!──他の誰かならおれ達の計画は潰れてた」

「……!!」

「いいかしらほし!!この世じゃそれを"マヌケ"と呼ぶんだ!!!お前がおれを憎まなかった事でこれこらこの王国は滅びる!!!"お前のせいで"父も兄も!!!お前も国民も全員が死ぬんだよ、しらほし!!!」

「違う!!耳を貸すな姫様!!!あんたのやった事は間違いじゃない!!!」

ジンベエが必死に声を上げるがホーディは止まらない。国王と王子達に向け右手を構えた。
/ 409ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp