【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第57章 海底の楽園
『……んっ…』
ミスティはゆっくり目を開けた。目の前には幾つもの光柱が差し込み覚醒しきっていないミスティには眩し過ぎた。目を押さえながら身体を起こし辺りを見渡した。
幾つもの沈没船が転がっている反面、暖かな光が差し込み美しいサンゴが広がっている。魚達も多く上空…いや上海(じょうかい)には様々な種のクジラが悠々と泳いでいる。
『聞いてた通り。魚やクジラが沢山…綺麗……』
ミスティは昔の事を思い出しながら暫く目の前の光景を眺めていた。だが、呑気に浸っている場合ではないと思い直し置かれた状況を考えた。
訪ねてきたチョッパーが部屋を出た直後、流れ込んだ海水により船から投げ出されたミスティ。だが、幸いにも今居るこの場所はサニー号の甲板のようだ。だが、他の者は見当たらない。
『…私だけ此処に?』
皮肉にも部外者の自分が母船と共に居るとは。そう思った時、少し離れた岩場の方から話し声がした。ミスティは取り敢えず声のする方へ向かった。
───
「僕はこの深海に広がる不思議な海の森を研究して暮らしてるんだ。」
「確かに…深海だなんて信じられねェ場所だ。魚人島もそうだがな…」
(あれは…フランキー?)
船の方へ向かってくる2人の男が目に入った。
「宝樹アダム…よく手に入ったね。素材に恥じないいい船だ。」
「そうだろ!?素材はトムさんの造った海賊王の船と同じ!!設計もおれの最高傑作さ!!」
「…フフ…コーティングは請け負うよ。ドンと任せてくれ。」
フランキーと話す男はデンというらしい。オオカミウオの人魚で船大工トムの弟だそうだ。
(…私は会わない方が良いわね)
船大工トムと世界政府との関係を考えれば容易に想像出来る。ミスティは潜入していたとはいえ政府の役人なのだから。船へ戻ろうと踵を返した。
「お、目が覚めたのか?」
ミスティに気付いたフランキーが声を掛けてきた。
『えぇ…他の皆は?』
「分からねェ。何処まで潮に流されたんだか…」
『そう…』
「まぁ、アイツらのことだ、心配ない!!」
フランキーは呑気に答えた。
「……ああそういやさっきからあそこに誰か座ってるが?」
「ああ…ジンベエ親分だよ」
「親分?」
「誰か人を待ってるそうだ…追われる身だから島内には入れないってね。」