【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第56章 予期せぬ乗船
仲間達と笑い合うニコ・ロビンを見た時、安心したし素直に嬉しかった。自分の命を懸けた任務の対象である彼女に対しては複雑な思いも正直あるが、彼女が今生きている現実に、自分のやってきた事が少しは報われたと思えた。
何も無い部屋の一角で感じた小さな幸せだった。
───
コンコン…
『はい』
ミスティの居る部屋を訪ねるものが居た。キィっと音を立て部屋の扉が開いた。
「……。」
『…何かご用?』
誰なのか気配で分かって居たミスティは、柔らかく問い掛けた。
ブニュブニュと可愛らしい音を立て部屋に入ってきた小さなトナカイは表情が優れない。
「あの…おれ…」
少し離れた所で俯きながら何かを言おうとしている。
「ごめん!!」
『?』
先程の様子からは想像も出来ない程の大きな声で頭を下げたトナカイ。
「おれがミスティの事…ロビンを捕まえに来たとか言ったから…居ずらくなったんじゃないかって。だからこんなとこに1人で…」
トナカイ…もとい船医のチョッパーは自分の発言によりミスティが皆とは一線を引いていると思いずっと気にしていたのだ。
『私は元CP9だもの。仕方がないわ。それにそんな事、気にしてないわ。自ら此処に居るのよ。』
「…何でだ?1人は寂しくないのか?」
『そうね。ずっと1人で頑張ってきたから慣れっこなのよ。それにこれから大事な用があって…その為に知り合いが重ねてきた努力を思うと私も今から集中しとかないとね。』
ミスティはローの力になる為に、約2年の月日をローとは別行動をとり諜報と鍛錬に注いできた。その途中で偶レイリーと知り合い覇気と悪魔の実の能力について助言を得た。そして、その助言を基に努力を重ねその成果の報告とお礼を伝える為にシャボンディ諸島へ寄った事で、麦わらの一味と行動を共にする事になってしまった。
こんな所で時間を無駄にはしたくない。早くドレスローザに入国しローが来る迄に準備を整えなければならない。皆と仲良しこよしをしている場合ではない。
『だから貴方が気にする事はないのよ。』
「そうか…分かった。」
『優しいのね。貴方船医でしょ?』
「そうだけど…優しいのと船医は関係あるのか?」
チョッパーの質問にミスティは答えた。