【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第56章 予期せぬ乗船
『そうね、見た目と中身がミスマッチな天才外科医を知ってるわ。』
巷では死の外科医と恐れるものも多いロー。でもミスティは知っている。彼がとても優しく熱い男だということを。
医者の共通項かもしれないが、彼は小さな変化にもよく気付く。病気の症状は勿論だが、気持ちの面の些細な変化も気付くのだ。そして、彼なりの気遣いをする。ミスティは今までその不器用な優しさを沢山感じてきた。
『彼もなんだかんだ優しいの。同じ医者だから貴方と話が合うかもしれないわね。』
「おれは内科が専門だから外科医なら色々教えて欲しいなぁ!アイツらいつも無茶ばっかだから大変なんだ!」
それからチョッパーは話が止まらなかった。ローも苦労している方だと思ったが、麦わらの一味の場合は船長が原因の筆頭の為、チョッパーの苦労が容易に想像出来た。ミスティは少し考えて言った。
『…薬なら力になれるかも。政府独自の特殊なものも任務の際に取り扱っていたから。』
「ホントか!?教えてくれ!!おれ万能薬になるのが夢なんだ!!」
革命軍、世界政府で諜報部員として活動していたミスティは風邪薬から毒・解毒剤まで精通していた。
薬の勉強を約束したところでチョッパーが思い出したように言った。
「あ、そうだ!もう魚人島に着くぞ!ミスティも行くか?」
『魚人島…』
魚人島は奴隷の過去がある。そもそも人間に対し国民は良い印象は無い。そして、政府の人間なら尚更だ。
『私は良いかな…それよりさっきからかなり揺れてるけど大丈夫?』
「確かに…ちょっと見てくる!」
そう言いチョッパーは部屋を出ていった。その後、ルフィの魚人島に着いたという大きな声で現状が分かった。だが、いきなり物凄い圧で妙な浮遊感を感じたと思った直後、扉が大破し物凄い勢いで海水が流れ込んできた。
『えっ!?…ちょっ!!ヤバっ…』
時すでに遅く、一瞬で海水にのまれたミスティの身体は勢いで船から放り出され潮の流れのまま暗い海にのまれていった。