【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第56章 予期せぬ乗船
ゾロに声を掛けられ、皆が居るメインデッキへ戻ったミスティ。
「おぉー来た来た!!」
船長であるモンキー・D・ルフィが嬉しそうに叫んだ。
「お前、レイリーの知り合いなんだってな!!ナミ達から聞いた!!色々ありがとな!!」
「ありがとなっじゃないでしょ!?謝んなさいよ!!無理矢理連れてきちゃったんだから!!」
状況を理解していないルフィを航海士のナミが怒る。
「送り届けるにも私達は魚人島へ向かっちゃってるし…」
「普通に行けば海中から戻るのは魚人島の後ってことか…」
ナミとウソップは、船長の気まぐれの犠牲者である目の前の女にすまないという目を向けた。
「にしても、女が1人でシャボンディとは…お前中々肝が据わってるなァ」
「綺麗なお嬢さん、貴女はどちらへ向かわれる予定だったんですか?」
フランキー、ブルックが続けて声を掛けた。ミスティは差し支えない程度に伝えた。
『新世界の島で人と待ち合わせを…』
「待ち合わせ…じゃあその人も待たせちゃうってことよね?あーもう本当にごめんなさい!!」
待ち合わせだと伝えたミスティにナミはまた謝る。
『いぇ…まぁでも新世界へは此処を越える必要があったので…下からは想定外ですが。』
「ならとりあえず海上に戻ったら目的地まで送るわ!!いいわよね?ルフィ?」
「おぉ!!いいぞー!!それよりお前、名前は?」
『…ミスティです。』
「ミスティか!!宜しくな!!」
ルフィがニヒっと歯を出して笑った。
(あ…)
ミスティが好きだった太陽のような笑顔。ミスティはえぇと言い目を逸らした。するとクイクイっと何かに服の裾を引っ張られる感じがした。
「なぁなぁ!ミスティも海賊なのか?」
声の方へ目を向けると一味の船医トニートニー・チョッパーが興味津々といった目でミスティを見ていた。
ミスティは迷った。今まで諜報部員として生きてきた。だがそれも今は無くなった。ローに助けられてから改めて自分は何なのか考えたこともなかった。
(ハートの海賊団の一員…なんて烏滸がましいか)
今まで行動を共にしてきたハートの海賊団。船長のローから仲間になれと言われた事が無い。もし、海賊と名乗ればロー達に迷惑を掛けるかもしれない。
(なら…)