【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第56章 予期せぬ乗船
それにより、2年もの間、くまは本来の記憶もない状態で"人間兵器"として過去の自分の命令を全うし麦わらの一味を待っていたのだ。
「やり方がメチャクチャすぎる…何故俺達にそこまで…」
ゾロの呟きにウソップも続ける。
「"革命軍""縁"とくりゃあ俺にはルフィの親父が革命軍のボスだって事しか思いつかねェな。」
「おれ、父ちゃんの事よく知らねェもん。でも"くまみてェな奴"やっぱいい奴だったのかー」
「実際俺達にとって意味のあるこの2年間を……生み出してくれたのはあの男だって事は間違いねェ……!!!」
答えの出ない疑問が残る中、フランキーが纏める。
「今となっちゃ本人にその胸の内を尋ねる事も出来ねェが心に留めとけ───この一味にとってバーソロミュー・くまは結果的に"大恩人"だって事をな…そしてまたいつか出遭う日が来てもくまはもう心無き"人間兵器"だ……!!!」
───
『……。』
───待っていた…
───おれは革命軍の幹部…縁あってこの一味をここから逃がしたい
───おれにはもう時間がない
(くまさん…なんでそんな事に…っ!!)
ミスティは唇を噛んだ。予期せぬ乗船となり、その船で知らされた嘗ての仲間の近況。優しかったその者が何故そんな事になってしまったのか整理が出来ないミスティは、そっと一味の輪から離れ1人になった。
革命軍に入ってから、厳しい鍛錬や訓練で傷を負いながらも必死でついて行こうと毎日必死だった。サボの事もあり、子供ながらに色々抱え込んでいたミスティ。そんな自分を肩に乗せ何も言わずただ一緒に居てくれたくま。
(何があったの!?くまさん…っ!!)
そして、もう1つ。
『…革命軍は助けなかった。』
人間兵器なんて正気の沙汰ではない。経緯は分かり兼ねるが、革命軍の力をもってすれば助けられたのではないか。くまはドラゴンさんや古株の者達とは付き合いも長い筈だ。なのに…
ダンッ!!
ミスティは船縁の手摺に思わず拳を叩き付けた。
「…おい」
『!?』
背後から低い男の声がした。振り向くとそこには一味の剣士ロロノア・ゾロが立っていた。
『えっと…何か?』
取り繕うように答えたミスティにゾロは用件を伝えると戻って行った。
「ウチの船長が呼んでる」