【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第52章 スタートライン
これまでミスティは能力者は何人も見てきた。ルッチやカク等CP9にも沢山居た。今行動を共にするローもその1人。だが、実自体を見たのは初めて。
悪魔の実を手にしたままどうしようか迷ったミスティはその場から動けずに居た。
当然、この実には価値がある。能力は分からないが持ち帰ればハートの海賊団のクルーの1人が能力者になれる。これから新世界を目指す海賊団ならその実の力がいつかきっと助けとなるだろう。
だが、この実を持ち帰れば此処へ何者かが侵入した事が海軍にバレてしまう。そうなれば時を同じくしてこの場に居たローが疑われ七武海参入の道が途絶えてしまうかもしれない。
『どうしよう…』
ミスティは必死に考えた。メリットとデメリットが交互に浮かんでは消え浮かんでは消え、それをひたすら繰り返した。
コツッ…コツッ…
『っ!?』
外から足音が聞こえミスティの居る部屋に近付いてきた。
(しまったっ…!時間をかけ過ぎたっ…!)
退路を失ったミスティは窓に駆け寄り脱出を試みたが、頑丈に作られており、何より人が通るには狭過ぎた。万事休す、そう思った時、本日2度目のサークルに包まれミスティは浮遊感と共にその場から姿を消した。
──ガチャ
「…気のせいか」
ミスティが姿を消した直後、ドアを開け入ってきた者は感じた違和感が気のせいであった事に何とも言えない表情だった。
───
「おい…ハァ…ハァ…時間の掛け過ぎだっ!…あの大参謀の前で能力を発動する俺の身にもなれ…っ!」
『ごめんなさい…有難う、危なかった。』
ポーラタング号ではぐったりしたローとミスティが居た。
「キャプテン!七武海入りはどうなったの?」
ベポが堪らず声を掛けた。
「あぁ…五分五分ってとこか。近い内に分かる。」
「そうなんだ!楽しみだなぁ!キャプテンが七武海になるの!」
ベポを初めクルーは既にローを七武海の1人として扱い喜んでいる。ローは呆れながら、ミスティに静かに声を掛けた。
「…俺の部屋に来い。状況報告しろ。」
『うん…分かった。』
2人は皆の輪から外れ船長室へ向かった。