【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第52章 スタートライン
「ルーキーから七武海とは…」
「実力主義だ。それとも今の七武海は年寄ばかりなのか?」
ニューマリンフォードの港が騒がしくなっていた。
ルーキーの1人、トラファルガー・ローが七武海に名乗りを上げ手土産として海賊の心臓100個を持参したのだ。
部下から緊急事態だと言われ引っ張りだされたつるは目の前の男を見ながら言い放った。
「生意気な事を言うんじゃないよ。お前さん、北の海のトラファルガー・ローだろ?」
最近の海賊は頭がイカれているのか海軍の領域に自ら足を踏み入れる傾向にあるのか。
(ガープの孫と言い、子奴と言い…まったく冗談じゃないよ。)
白ひげ海賊団の隊長達が身を呈して守り抜いた命でありながら、頂上戦争の後に戦地へ舞い戻った麦わらのルフィ。
戦う気はないようだが、七武海の称号を己に与えよと海軍の聖域であるニューマリンフォードに乗り込んできたトラファルガー・ロー。
「お前さん、何故、頂上戦争で麦わらを助けた?」
「あぁ?」
「最悪の世代と言われたお前達は仲良しこよしじゃないだろ?ライバルなんだ。助ける義理はないだろ?」
つるはローに言った。
「…気が向いただけだ。」
素っ気なく答えたローにつるはおもしろいと心の中で呟いた。
「ついておいで。」
そう言うと背を向け歩き出した。
「……。」
ローの背後では黄色い潜水艦と仲間達が心配そうに見守っていた。
「キャプテン…どうするの?」
堪らずベポは声を掛けた。
「お前達はここで待て。俺一人で行く。」
ローは覚悟を決めた。
"虎穴に入らずんば虎子を得ず"
海軍の精鋭が集うそこへ単身乗り込んで何かあればローは勿論ハートの海賊団も終わりだ。だが、何もしなければ事は動かない。
ローは振り返り小声で指示を出すとつるの後を追い建物内に消えていった。
残された仲間達はローの意図が分からず焦ったが、取り敢えず指示に従おうと動き出した。
自分達の船長は強いだけでなく頭が物凄く良い。何か考えがあるに違いない。皆がそう思った。
───"あいつ"に何時でも動けるようにしとけと伝えろ