【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第51章 罠
※ロー視点
バアァァンッ!!
扉を開けるとベッドに寄り掛かり伏せているミスティが目に入った。俺は女の部屋だろうがなんだろうが気にせず足を踏み入れた。
ジャリ…
靴で何かを踏んだ。足元を見ると細かいガラスの破片が散らばっていた。先程の音はこれかと納得した。
「おい…ミスティ、大丈夫か?」
床に膝をつけベッドに寄りかかるミスティの肩に触れたその時、
『触らないで…っ!』
パシンと手を払われた。だが、俺は気付いてしまった。その一瞬で触れた手が妙に熱を持っている事に。
「…お前、熱あるんじゃねぇのか?」
『…ハァハァ…少し疲れただけだから…っ』
「少し診せろ。」
顔を逸らし否定するミスティの息の上がりようは異常だ。痺れを切らした俺はミスティの肩を掴み無理矢理此方を向かせた。
「っ…!」
『いやっ…離して!』
俺は一瞬息をするのも忘れてしまった。何だその顔。確認出来たミスティの顔は真っ赤になり目には涙を溜めながら荒い呼吸を繰り返していた。離せと暴れるミスティを抑え込み頬に触れるとビクンと震えた。
『んっ…やめて…』
唯の熱にしては色気のある声で抵抗するミスティに変な気を起こしそうな俺が居た。だが、それを抑え冷静にミスティを診た。
「お前、これ…」
『大丈夫だから…時間が経てば…っ…ハァ…治まるからっ!』
俺に悟られまいと必死に隠そうとするミスティはもう限界だろう。
「催淫剤」
『っ…!』
「…あん時か?」
催淫剤…所謂媚薬と呼ばれる薬だ。俺は昼間にミスティに庇われた時の事を思った。ミスティはフルフル頭を振り違うと連呼したが、快楽目的に此奴が自ら口にするとは考えられない以上、心当たりはこん時しか無ぇ。
「その顔見りゃ一発で分かる。」
俺の言葉に諦めたのか、抵抗していたミスティの動きが止んだ。と、同時にドサッと腕の中に倒れ込んできた。
「…っと!」
慌てて抱きとめると身体は火のように熱く小刻みに震えていた。薬の効果が切れるのを待つしかないが、取り敢えずこのままにしとく訳にはいかねぇ。かと言って、処置室だといつ誰が入ってくるか分からねぇ。薬のせいだとは言え男所帯で乱れた女を見りゃ彼奴等には目の毒だ。俺はミスティを抱き上げ部屋を出た。