【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第51章 罠
夜、海の上に船体の頭を出し浮かんでいるポーラタング号ではワイワイと宴が開かれ、クルー達は酒の席を楽しんでいた。久しぶりの宴で浮かれるクルーを見ながらローも気分が良かった。
ただ、宴の次の日は二日酔いの薬を貰いに来るクルーが後を絶たない。ローは辺りを見渡しシャチを始め危なそうなクルーの人数を確認し、薬の凡その数を試算した。
(ん…あいつが居ねぇ)
その場に居ないメンバーに気付きローは皆に声を掛けた。
「ミスティはどうした?」
思考が酔いに支配されているクルーが多い中、ジャン・バールが答えた。
「確かに姿を見ないな…お前分かるか?」
一緒に準備をしていたであろう雑用係のクルーに尋ねた。
「えっと…ミスティさん、今日は疲れたから先に休むって言ってましたよ?ちゃんと休みたいから私の部屋に来たりしないでって酔っ払っい達に伝えといてって。」
「まぁ、ミスティも今日は疲れたんだろ?覇気をかなり使ったって言ってたしな。」
ジャン・バール達にそう言われ納得したローは先に休むと伝え船内に戻った。
───
ガシャン…
「?」
静まり返った船内に響いた何かが割れるような音にローは自室への歩みを止めた。
「…ミスティか?」
宴の最中、船内に居るのはローとミスティしか居ない。ローはミスティの部屋に行き扉を叩いた。
「おい、大丈夫か?」
声を掛けるが返事が無い。何度か叩くと室内から声がした。
『大丈夫…』
返事があった。
「でかい音がしたが…」
『ごめん…なさ…コップ割れちゃって…』
「怪我してねぇか?」
『…うん、ハァハァ…大丈夫…っ』
答えは返ってくるが辛そうな様子から昼間の事がよぎり嫌な予感がしたローは鍵のかかった扉を無理矢理こじ開けた。
───
──数時間前
ミスティは嫌な予感がしていた。ローに聞かれた時は問題ないと思った。今までも色々な毒に対し知識もあるし訓練で耐性もつけていた。何なら自身で解毒剤も調合出来る。
(でも…)
ミスティは自身の身体に感じる異変の正体に検討がついていた。誰にも会わずにただ時間が過ぎるのを待つしかない。
(迷惑掛けたくない…絶対に)
ミスティはブランケットを頭から被りベッドの上で身体を小さくしこれから襲ってくる苦悶の時間を思い身を震わせた。