【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第51章 罠
※ロー視点
(くそっ…なんだコイツら!!)
椅子に座り寛ぐ海賊の船長を睨みつけながら俺は焦っていた。
(何でコイツ等と…)
「余所見をされちゃ困りますね!」
「ちっ…っ!?」
俺に強烈な蹴りを入れてくる目の前の男に意識を戻し集中した。
「やはり強いですね!流石あの人達と同じルーキーの1人だ!」
そう言いながら技を繰り出す男は嬉しそうに笑った。
(くそっ!此奴に手が取られて奴等に近づけねぇ!)
俺は焦った。今日で海賊の心臓集めとおさらば出来ると思っていた矢先、突然此奴らが乗り込んできやがった。しかもそこら辺の海兵とは違う。このピンクの頭の奴はミスティと同じ体術を使うし、ペンギンとシャチが相手をしている奴は珍しい刀を使っていた為、予想外の攻撃に手馴れの2人も手を焼いているようだ。ベポも1人で複数の海賊を相手にしてる。
そして先程から異様なオーラを放つ海兵が1人。薄暗い室内では良く見えないが何もせず様子を伺っているようだ。そいつの行動が読めねぇせいで皆いつものように動けねぇ。
(どうする…せめて心臓だけでも抜き取るチャンスがあれば…!)
俺は能力を発動するタイミングを逃すまいと意識を集中させながらピンクの頭の海兵の攻撃をかわしていた。
───
どれだけ時間が経ったでろうか。意識を分散させながら戦うには限界がある。ペンギン達も息が上がっている。その時、今まで一言も発せず様子を見ていた男が呟いた。
「ほぉ…この状態で此処までたどり着くとはな。」
ガシャーンッ!!
男の呟きと同時に窓ガラスが割れる音がし俺の目の前を何かが掠め、ピンク頭の海兵が吹っ飛んだ。
ドオォォーン!!
土埃で良く見えないが聞き慣れた声が聞こえた。
『ロー!!』
「ちっ…Room!!」
俺は左手を構え能力を発動させた。ブーンと音を立て俺の掌から広がったサークルが海賊達を包むと同時に鬼哭を構えた。
「メス」
油断していた敵の船長は反応出来ず、俺に心臓を奪われその場に倒れた。
「「船長っ…!!」」
ヒュン!ヒュン!
狼狽える残りの海賊達の心臓も射抜くと俺は目で近くに居たベポに合図した。ベポは頷きペンギン達と戦う刀の海兵の背後から蹴りをかまし吹っ飛ばした。
「お前ら、先に行けっ!」
俺は3人に向けてそう叫んだ。