【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第50章 新たな可能性
島に上陸してから数時間───
『これも違う…気がする』
ミスティは呟いた。ミスティの残念そうな声色から店主にも落胆の様子が見て取れる。
剣を見せて欲しいと店にやってきたミスティを見て店主は自信を持って複数の刀剣を用意した。どれもこの島の優れた刀鍛冶が打った1振りだ。これ迄、業物迄は及ばずとも刀剣を求めてこの島を訪れる者達を満足させてきた自負がある。
だが、目の前の女は納得出来なかったのか全ての刀剣を静かに置いた。
「あの~…お気に召されませんか?」
その声にミスティはハッとして慌てて口を開いた。
『すみません…どれも素晴らしい作品だと思います。ですが、扱いに不慣れな私には難しいかなと。』
ミスティは店主の気を悪くさせないよう答えた。
「そうですか…どのようなものがご希望ですか?」
『もう少し軽めで振り易いものを探しています…身体の一部のような感覚で扱えるものを。』
ミスティの要望にう〜んと唸りながら店内を見回した店主だが諦めたように言った。
「レイピアのように突きを基本とするタイプなら軽量なものはありますが振りを基本とする刀では難しいですね。」
『…そうですか。』
「申し訳ない。他を当たってみて下さい。まぁ、あまり期待は出来ないと思いますが。」
『有難うございました。折角ですので他も見てみます。』
店主に頭を下げミスティは店を出た。
それから複数店を回ったが、最初の店の店主が言った通りミスティの納得するものは見つからなかった。
『はぁ…やっぱりローの言う通り私には剣術を極めるなんて難しいのかな。』
武器の島として知られたこのヴァッフェで巡り会えなければ、この先、自分が納得するものは見つからないのかもしれないと落胆しとぼとぼと船への帰路についた。
ミスティの帰りを心配していたベポに迎えられ食堂でコーヒーを飲みながら店での事を話した。
「そっかぁ…まぁね。自分が本当に納得する武器に出会える事は奇跡みたいだよ?キャプテンもそう言ってたかな。」
『ローも?』
「そうだよ!だからミスティがいつそうなっても良いように軍資金を渡したんだよ!」
『…そうだったんだ。』
ベポからローに相談する事を勧められたミスティは海賊の心臓集めに出ている船長の帰りを待つ事にした。