【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第50章 新たな可能性
「身体の使い方や負担も今迄とは違うんだぞ?カモフラージュの為に剣術を身につけるなんざ理解出来ねぇ。」
『…ローの言うことは分かる。でも昔、武器の扱いは一通り習ったわ。確かに甘い考えかもしれないけど、決戦迄に私も強くなりたいの!勿論、六式の鍛錬は続けるし覇気ももっと磨きをかける!だから…っ!』
「……。」
ミスティは必死だった。ローの目的の為に自分がしなければならない事は分かっている。だが、ドフラミンゴに全くと言って良い程歯が立たなかった事、ドフラミンゴだけではなくファミリーの幹部の層の厚さ、これらを考慮すればミスティも今より強いに越した事はない。
ローの作戦が上手く進み、ドフラミンゴと四皇の一人カイドウがぶつかったとしてその後、矛先が此方に向かないという保証はない。それに作戦には予想外な事が起きるものだ。そして失敗すればドフラミンゴと再び直接対決になる可能性だってある。
『それにっ!CP9に刀を使う人も居たわ!戦い方の幅を広げる事にもなるし無駄になる事はないと思うの!』
ミスティは嘗ての同僚を思い浮かべた。
「…分かった。とりあえずやってみろ。」
『っ…!有難う!』
「次の島は良質な鉱石が採れる。着く迄、ペンギン達と木刀で手合わせして感じを掴め。」
『そのつもり!ベポに教えて貰ってたから!早速やってみるー!』
そう言うとミスティは船長室を飛び出して行った。
「アイツ…!」
上手く乗せられたとローは舌打ちをした。
「……。」
ミスティは何故あんなにも強くなりたいのかローは分からなかった。勿論ローとて強くなりたいという思いは持っているがそれは本懐を遂げる為に必要だからだ。だがミスティは何の為に強くなりたいのか。ドフラミンゴに因縁があるとしても動機が弱い。寧ろ自分を見捨てた政府の連中への復讐の方がしっくりくる。
(まぁ、向上心のある奴は嫌いじゃねぇ。)
「お手並み拝見だな…」
ローは知らない。ミスティが何故強くなりたいのか…その理由が自分である事を。
外で木刀の合わさる音が思ったより心地よく、海賊の心臓集めに躍起になる日常で疲れが溜まっていたローは、自分でも信じられない程、早々に目を閉じ意識を手放した。