【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第49章 王下七武海への道
──革命軍総本部バルティゴ
「サーボくんっ!どうしたの?」
コアラは海を眺める参謀総長に声を掛けた。
「なんだ、コアラか。別にどうもしねぇよ。」
コアラは心配だった。頂上戦争後、火拳のエースの死を知ったサボが倒れ3日間も寝込んだのだ。漸く目覚めたと思えばドラゴンと何やら話し込むサボ。それ以降、サボは1人で海を眺める事が増えたように思う。記憶が戻ったと聞いてはいるもののサボの様子を見る限り手放しで喜べるような状況ではないと分かる。
「…まだ見つからないんだね。メラメラの実。」
「あぁ。」
サボが記憶を取り戻してから皆に指示した事。
"メラメラの実を探して欲しい"
火拳というポートガス・D・エースの代名詞の由来であるメラメラの実。能力者が死ぬと再び世界のどこかでその実は誕生する。サボはそれを探している。
「何か情報が入れば伝えるね!」
「あぁ。頼む。」
コアラはそう言うとその場を離れた。今はこれ以上、傍に居ない方が良いと判断した結果だ。
サボはバルティゴから見える海を眺めながら呟いた。
「エース…俺は取り返しのつかねぇ事しちまった。お前を助けに行かなかった。ルフィを1人にさせちまった。それに…」
──サボ!
頭の中に浮かぶのは全て記憶の中の少女と女。自分に向かって微笑む可愛い少女。そして悲しげに自分を見る綺麗な女。
「ミスティ…」
自分が守ってやりたい、幸せにしたいと思った。一緒にこの世界の全てを見たいと願った。
それなのに…
「俺は嘘つきだな…」
サボの呟きは水平線に沈んでいく太陽のように海に飲み込まれていった。