【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第46章 後悔
甲板に戻ったローは海賊達を浜辺に運ぶクルー達に声を掛けた。
「女は居なかったか?」
「女…ですか?いや、俺は…お前見たか?」
「いや?海賊は男ばっかりでしたが。」
「海賊じゃない。政府の女だ。」
経緯を知らない所為か頭の上に?が浮かんでいるクルーに、ローは作業を続けるよう言い作業の邪魔にならないよう船尾の方へ移動した。
夜も深くなり辺りは漆黒の闇。夜明けまではまだ数時間ある。波の音と潮の香りが此処が海岸だと教えてくれている。
「アイツ…どこ行った?」
真っ黒な海に向かって呟いた。
どれだけそうしていただろうか。海をボーっと眺めていたローに背後から声がかけられた。
「キャプテン…処理はあらかた終わった。」
ローが振り返れば灯りを片手にシャチとペンギンが立っていた。
「あぁ。」
「あの子の事…どうする?」
「状況が状況だ。探すにしてもアテが無ぇ。」
「だよね…」
シャチもペンギンも肩を落とした。
「とりあえず中に戻ろう、キャプテン。」
「…あぁ」
ドクッ…
「?」
…ドクッ
船内へ戻ろうと歩き出したローは違和感を感じた。上着のポケットに手を突っ込むと四角い塊があった。
「っ!!」
「…どうしたの?キャプテン?」
「…生きている」
「えっ?」
ローはポケットから取り出し2人の前に差し出した。
「…それ!!」
「あぁ…アイツの心臓だ。保険に持っておいた。」
脈打つソレはローに持ち主が生きている事を必死に伝えているようだった。
「じゃあ生きてるって事だね?」
「あぁ…アイツもバカじゃ無ぇ。心臓置いて逃げる事はしねぇだろ。」
「なら夜が明けたら皆で探そうぜ!」
…ドクッ
「……。」
「…キャプテン?」
「心臓の動きが弱い。普通じゃ無ぇ…」
ローは必死に動いている心臓の動きを詳しく見ようとした。
「キャプテン、灯り!」
シャチが手に持っていた灯りを近付けて来た。
「あぁ、悪い。助か…」
灯りを差し出したシャチの方に自然に視線をやったローの目は僅かな異変を捉えた。
「おい、此処では誰も死んでなかったよな?」
「ん?あぁ、そうだね。全員甲板と船内で倒れていた。だよな?」
「あぁ、ここは誰も居なかった!」
聞かれた内容に答えた2人は意図が分からずローの視線を辿った。