【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第45章 油断
明日にはログが溜まるという朝、食堂では押し問答が繰り返されていた。
「ねーキャプテン!今日で最後なんだしおねぇちゃん達のお店で酒盛りしようよー」
「キャプテンが来ないと俺等、超責められるの!」
「知らねぇよ。」
同世代の海賊の中でも懸賞金の額から知名度を誇るがなんと言ってもローはイケメンなのだ。顔面偏差値は突き抜けており、190cmを超える長身で細身だがしっかりと筋肉が付いた鍛え上げられたボディ。世の女性達が放っておく訳が無い。
ローが居なければお前達に用は無いと言われているようなものだが、ギャーギャーと騒ぐペンギンとシャチに周りのクルーは哀れみの目を向ける。
「まぁ、最後の夜だ。出てきたらどうだ?船の見張りなら俺がしよう。」
ジャンバールが言った。
「何言ってんだ!ジャンバールも来るんだよ!」
ペンギン達が言う。
「いや…だが…」
「…なら僕残ります。」
おずおずと手を上げたのは新入りの青年。戦闘は苦手だが家事が得意であるが故、仲間に入れた。
「えっ…大丈夫なのか?」
「あの女性は大丈夫だと思いますし、島にはハートの海賊団を狙ってくる輩は居ないでしょうから…」
「なら決まりっ!キャプテン良いよね?」
「…本当に大丈夫か?」
「はい!何かありましたらすぐ連絡します!」
元気よく答える姿にローも任せてみようと思った。確かに上陸前に確認したところ気にするような海賊は居なかった。最悪攻められても今は奪われるものも無いしこのポーラータング号は普通の船では無い為、操縦は素人では困難。そしてローの能力をもってすれば何かあれば駆けつけることは可能だ。
「そうか。なら頼む。」
──
夕方近くになりローもそろそろ出ようと読んでいた医学書を閉じた。鬼哭を担ぎ部屋を出ようとした時、ふと目に入ったもの。
「…一応持っておくか。」
ドクンドクンと脈打つキューブをパーカーのポケットに入れ船を降りた。
船の中はひんやりしていたが、外は生暖かい風が吹いており身体に纒わり付く湿気に気分が落ち着かない。そのせいか胸騒ぎがし、何となく振り返り黄色い仲間を一瞥し夜の街へと消えて行った。