【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第45章 油断
「ダメだ。」
『どうして…っ!!』
診察に来たローに少し身体を動かしたいと伝えたミスティだったが玉砕した。
「お前は俺達にとって敵だ。そんな奴、一時的と言えど自由にする訳ないだろ。バカか。」
『でも…っ!!もし船が襲われたりして戦わないといけなくなったら?このままじゃ私、動けない!』
「はぁ?お前、俺達を舐めてんのか?敵のお前に助けられるような俺達じゃねぇよ。」
『じゃあせめてこの手枷だけ外して?部屋からは出ないから!』
「ダメだ。」
何かあれば呼べと言いローは出て行った。
──
夜になり、島で過ごす者も居れば船に戻って来る者も少なからず居る。ベポもその1人だ。
「キャプテン!ミスティどうだった?」
「あ?…あぁ、身体が鈍っているからリハビリがてら身体を動かしたいと言ってきた。まぁ、そんな事許さんが。」
「そうなんだ…まぁ、そうだよね。」
ベポはミスティの事を好意的に思っては居るがミスティの立場を考えるとローの判断は当然だと思った。
「キャプテン…ミスティこれからどうするの?」
「……。」
ミスティの怪我はもう治っている。治り具合も良好で傷は時間が経てば消えて行くだろう。ハートの海賊団としては世界政府の関係者であるミスティを船に乗せておく理由が無い。彼女を人質に政府へ何かしたいと思えるほどの目的もない。強いて言うなれば性欲の捌け口にする為の女…ただローにはそっちの考えも今の所無かった。
「いずれは船から下ろす…だがまだ聞きたいことが聞けてねぇ。」
心臓を奪っても口を割らないミスティ。ローとしても自分が欲しい情報が得られるかもしれない可能性を失う訳にはいかなかった。
「もう少し様子を見る。」
「アイアイ!キャプテン!オレも手伝うから言ってね!」
そう言うとベポは船長室を出て行った。ローは戸惑っていた。ハートの海賊団を立ち上げてから判断に迷う事等皆無。いつも冷静に物事を考える事が出来ていた。
だが、今回はどうだ?たかが一人の女。別に気にする事は無い。危険因子ならまず関わらない方が良い。そんな事は元々分かっては居るがミスティの傷を見る度に"あの男"がチラつくのだ。少しでもローが優位に立つ為に使えるものは全て使う。
ローは自身の身体に刻まれたジョリーロジャーに誓うのだった。