【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第45章 油断
トラファルガー・ロー率いるハートの海賊団の船、ポーラータング号での生活も2週間が過ぎた。ミスティの怪我は日常生活をするには問題ないレベルまで治っていた。
『退屈…』
目が覚めてからは片手を繋がれてしまった為、動きを制限された。自由に船内を歩く事は不可能、シャワーやトイレはベポが常に付き添っている。普通の人間の感覚なら息が詰まり、ストレスが溜まるところだが、ミスティの場合は少し違う。
『こんなんで前みたいに動けるのかな…』
CP9として諜報活動を行い、時にはその身で葬った命もあるミスティは、監視の目より鍛錬出来ないストレスの方がダメージが大きかった。心臓をローに盗られた為、逃げ出すことは出来ないが、何かあった時にこのままでは思うように動けないと容易に想像がつく程、身体の鈍りを感じていた。
(ダメもとでアイツに相談してみよう…かな)
ミスティはアイツと呼ぶあの男が海賊である事より医者としての判断を優先してくれる事を祈るのだった。
──
「島のログが溜まるまで1週間。その間、好きに過ごせ。」
朝一で船長ローから伝えられた事項に浮き足立つクルー達。
島の名所や名産品目当ての者。
酒を楽しむ者。
一夜限りの女との快楽を求める者。
夫々の目的の為にバラけて行く中、ペンギン・シャチ・ベポはローの元に集まっていた。
「キャプテンはどうするの?」
「キャプテンは勿論俺達と…行くよね?」
「俺は船に残る。」
「「え〰️〰️っ!!!」」
ベポのローへの質問を聞いて勿論自分達と高級娼館に行くものだと思っていたペンギンとシャチは叫んだ。
「キャプテン居ないとダメじゃん!!」
「ねー行こうよ!キャプテン!」
子供のように駄々をこねる2人。
「…なら誰がアイツを見張る?」
「「……すみませんでした。」」
ローの一声に先程迄の駄々っ子ぶりが嘘のようにしおらしくなった2人。世界政府直属の諜報部員でその中でも精鋭と言われるCP9所属であるミスティの実力は未知だった。万が一、ミスティが本気で逃げようとすれば自分達だけで抑え込めるか自信が無かった。
「ベポ、お前も島におりろ。」
「でも…」
「日常生活には問題ない。俺で何とかする。」
「アイアイ!有難う!キャプテン!」
結局、船にはローが残る事になった。