【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第44章 事実の穴埋め
『何したのっ…!?』
「あぁ?お前が話さねぇから預かる事にした…」
ローは口元に笑みを浮かべながらミスティに先程と同じように鋭い視線を向けてくる。そして何かをポンポンと掌で弄んでいる。
『何、をっ…!?』
(え…ちょっと待って。あれ、心臓?)
ローの掌にあるキューブはよく見ると切り取られた心臓だった。鼓動しているのが確認出来る。
『それ…』
「お前のだ。話すまで預からせて貰う。」
『!!!』
ミスティは驚き身に付けていた服を捲り胸元を見るとそこにはポッカリと穴が空いていた。四角く切り取られそこにあるはずの心臓は見当たらなかった。
(何これ…"コレ"がオペオペの実の能力なのっ…!?)
ミスティは心臓が奪われたにも関わらず生きている事に驚かずにはいられなかった。
「…また来る」
そう言うとローはミスティの心臓を持ったまま部屋を出ていった。
『…何なの…アレっ…!?』
キスはされるは胸は触れるは挙句心臓までとられミスティは今の状況についていけていなかったが1人になり冷静さを取り戻すと、だんだん怒りを感じてきた。
『何なのよ!アレ!助けて貰ったから大人しくしてたのにっ…!出会い方さいあ…』
そう言いかけて口を噤んだ。
(あの時もそうだった…)
ミスティの頭に再生された過去の映像。
── 力が無ければ死ぬ。男と女では差が歴然。諦めて女のスキルを磨け
── お前がどうなろうと関係ないがこっちの任務に支障が出るのは困る
『レイン…』
ミスティはレインと初めて会った時の事を思い出した。女である自分では周りの男達には敵わない、役立たずな女は所謂カラダを使い男を悦ばせる能力を磨けと馬鹿にされた事。
(あの時ははホント最悪だったのに…)
── 好きだ…ミスティ
── お前には俺が居る
── 愛してる…ミスティ
『…っ!…うぅ…ひっ…!』
出会いは最悪な2人だったが、その後、紆余曲折を経て恋人になった。だが、ミスティのレインを思う強い気持ちと彼女の立場によりその関係は壊れてしまった。
(心臓無いから胸も痛まない…それだけはアイツに感謝するべきかな…)
ミスティは1人声を殺して涙を流した。