【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第44章 事実の穴埋め
"クソ"という単語なギョッとしたミスティだったが、あの時はアリスを守る為に必死で、自分の身体を使い相手の動きを封じた代償としては正当だと思っている。
「傷を残すなんざクソのやる事だ。」
(傷が残ってる事を気にしてくれているのだろうか…)
「お前の傷は深かったが今回は俺が執刀したんだ。跡なんざ残らねぇよ。」
自信たっぷりの言葉にミスティの顔が少しだけ明るくなった。ぶっきらぼうな言い方だが、ミスティの身体に傷が残ってしまった事に対して医者として怒ってくれているのだと思えた。
『…心配されたのなんて初めて。』
ミスティの呟きにローは見る対象を傷からミスティの顔に変えた。
『…諜報部員は組織の道具。傷ついたり死んでも代わりは沢山居るから…』
ローは何も言わなかった。
『だから助けてくれて有難う…』
「俺は医者だからな。」
そう言うとローは近くにあった椅子に腰掛け長い脚を前で組みミスティに問うた。
「何があったか話せ。」
『…えっ』
「あの傷は誰にやられた?」
ローの鋭い目がミスティの大きな目を捉えて離さない。
『それは…』
「言え。」
『任務に関する事は言わない。』
「任務の内容なんざ興味ねぇよ。相手が誰かと聞いている。」
ミスティはローが何故ここまでしつこく聞いてくるのか不思議だった。見ず知らずの女の怪我等どうでも良いではないか。自身の医者としてのスキルは証明されたし珍しい傷でもないだろうに。
「ちっ…」
ミスティがそんな事を考えていると盛大な舌打ちと共にローが近くに来たのが分かった。目線をローに向け見上げる形となったのは一瞬で気付いたら肩を捕まれ唇を塞がれていた。
『んっ…』
ローの舌が自分の口内に侵入して来たことは分かったが不意打ちだった為、流石のミスティも拒否出来なかった。
『んふっ…ん…』
角度を変えて合わさる唇からはミスティの吐息が盛れる。肩を掴んでいた手が胸元に下り服の上から胸の形に沿うように触れてきた。
『やめっ…!?』
「メス」
ドクンっ
心臓が大きな音を立て跳ねた気がした。と、同時にローの唇も離れていった。何か違和感を感じたが不敵に笑うローが気になり感じたそれが何から来たのか確認はしなかった。