【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第44章 事実の穴埋め
ローは自室に戻りミスティをどう吐かすか思案していた。手には先程の心臓が収まっている。
「流石は諜報部員といったところか…」
気の強そうな女だとフッと口元に笑みを浮かべ満足気に呟いた。
ドクドク…
「…?」
手元の心臓の鼓動が急に早くなった。
「なんだ…」
死の外科医と恐れられている自身を目の前にしても怯えた片鱗等微塵も感じてはいなかった先程のミスティを思うとこの心臓の動きは異常だった。
普通に話せるようになってもあれ程の傷を負った身だ。何かしら体調を崩した可能性は十分にある。
「ちっ…」
ローは鬼哭を手にし部屋を出た。
──
「……。」
部屋の前まで来たローは扉に手を掛けたまま動けずに居た。
── …っ!…うぅ…ひっ…!
正直、女心等分からぬローだが本能的に今は入るべきでないと思った。
暫く動けずに居たが手元の心臓の鼓動が落ち着き始めた事でローはその場を離れた。
「くそっ…!」
部屋に戻りドサッとベッドに寝転がり目を瞑ったロー。
「面倒くせぇ…」
ローの独り言は誰にも拾われること無く広い船長室に消えていった。