【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第43章 白いクマとクマの酷い人間
「なんだ、まだ食ってたのか?」
「アイアイ!キャプテン!ミスティ全部食べてくれたよ!」
「…ミスティ?」
戻って来たトラファルガー・ローはベポから報告を聞きながら荷物を部屋の端に下ろした。何処かへ出掛けていたようだ。
『あの!…ご馳走様、でした…』
私が声を掛けると此方を一瞬見てあぁ、と答えた彼。
「ベポ、夜話があるから皆に伝えとけ。」
「アイアイ、キャプテン!伝えとく!」
「あぁ。悪いな。」
「大丈夫だよ!じゃあ仕事に戻るよ!ミスティ、また後でね!」
そう言うとベポはトレイを下げ部屋を出て行った。
「……。」
『……。』
静かになった部屋で2人になり沈黙に耐えられず私は口を開いた。
『あの…ベポから聞きました。私を助けて頂いたと…有難うございました。』
「…お前、何者だ?」
お礼に対し返ってきたものは疑いの色を含む声。ソファに座る私に対しトラファルガー・ローは向かい合う形でベッドに腰を下ろした。
「俺は医者だからお前を助けたが、お前を信用した訳じゃねぇ。」
最もだと思う。
「ベポは懐いているみたいだがお前の回答によっては俺は迷わず殺る」
流石船長ね。この人に嘘を吐いたところで殺られる時は殺られる。それに元々この人が居なければ死んでたんだし。
『私はロゼ・ミスティです…世界政府諜報機関CP9所属の諜報部員です。』
「はっ…!?」
トラファルガー・ローの目の色が変わった。
『助けて頂いた恩人の方々に何もするつもりはありません。ですが、立場上は"敵"…殺すか拘束する事をお勧めします。』
「お前…」
『私は抵抗しません…どうぞ。』
私は両手を差し出した。
「…ちっ」
軽い舌打ちが聞こえトラファルガー・ローは近くにあった長刀に手を伸ばし左手を徐ろに翳した。
「Room…シャンブルズ」
『えっ…』
一瞬、妙な浮遊感があったが気付いた時には別の場所に居た。見た所、普通の部屋だった。
「手ぇ出せ。」
手を差し出すとガシャンと右手に手枷をされベッドに繋がれた。
「とりあえず此処に居ろ。何かあったら呼べ。」
そう言うと子電伝虫をポイッと投げられ部屋を出て行った。直後、ガチャっと鍵の締まる音がした。閉じ込められたと分かったが拘束が緩かったのでもしもの時は逃げ出せると思った。