【ONE PIECE】私の居場所~アナタの隣に居たかった
第43章 白いクマとクマの酷い人間
「シャワー浴びれるか?」
『え?』
言われた事が理解出来なくて聞き返してしまった。
「シャワー自分で浴びれるか聞いている。」
見ると彼の手にはきちんと畳まれたタオルが大小複数と黒いパーカーのような服があった。
『あ…はい。自分で出来ます。ありがとう…ございます。』
「中にある物は自由に使え。終わったらこれ着て出て来い。」
そう言うと彼はパタンと扉を閉め出て行った。置かれた状況を冷静に考えると人様の部屋でシャワーを浴びる行為は無防備な状態だ。長年諜報部員に身を置いてきた私としては抵抗があったが、元々怪我をし無防備な状態で彼はターゲットではない。それに女としてずっとこのままの状態の方が抵抗がある。
『汗を流す程度なら…』
そう自分に言い聞かせガラスの扉に手をかけた。
──
男物のシャンプーやボディソープだったが清涼感があり香りも嫌いじゃなかった。サッパリした私は渡されたパーカーを着て言われた通り部屋に戻った。
『…あの…シャワー有難うございました。あと、これも。』
腕を少し上げた。
「あぁ。」
短く答えた彼は此方をチラリと見た後、少し驚いた顔をした。そしてソファに座っていろと指示をし部屋を出て行った。
暫くするとノック音がして扉が開きベポが入って来た。
「ご飯持ってきたよー!」
ベポはトレイを私の目の前に運んで来た。
「お腹すいてる?食べれそう?」
目の前のトレイには鮭とほうれん草の入ったお粥が湯気を立てて鎮座していた。
『…美味しそう』
思わず声が漏れた。それに反応したベポ。
「わぁ!良かったー食べて食べて!熱いから気をつけてね!」
私は頷きレンゲを手にし粥を口に運んだ。
『おいし…』
私の体調を考慮してくれているのだろう。柔らかく食べ易いし、何よりほうれん草と粥に鮭の塩味が効いて美味しかった。
「良かったーどんどん食べて体力付けて元気になってね!」
私は時間を掛けてお粥を完食した。栄養剤投与で数ヶ月過ごしていた為か、お粥1杯に1時間程度掛けてしまった。その間、ベポは離れず側に居てくれた。
「君、名前は?なんて言うの?」
『…ミスティです』
今の段階で本名を名乗るのは気が引けるがベポには嘘をつきたくないと感じた。
「へぇ、ミスティか!宜しくね!」
するとガチャっと扉の開く音がした。
